2025/07/12

「ロバのおうじ」グリム童話

何よりも自分の財産が好きな王様と、 何よりもきれいな衣装が好きなおきさき様は、
とても幸せで広く平和な国を治めていました。
ただ、二人には子どもだけはどうしても欲しいが授からず、
魔法使いの力を借りて子どもを授かります。
しかし、王様が魔法使いをだましたため、
生まれてきた王子はロバの姿をしていました。
「ロバのおうじ」 グリム童話より
M.ジーン・クレイグ 再話、バーバラ・クーニー 絵、もきかずこ 訳
ほるぷ出版
全国学校図書館協議会選定図書
日本図書館協会選定図書
日本こどもの本研究会選定図書


ロバの王子は、生まれ育った城ではからかわれ相手にされません。つらい気持ちがチクチクと伝わってきます。一方、旅立って新たな暮らしを始めた城では、ロバの王子は認められて慕われます。こちらの城の人々は、治める王様と同じく良い物事を愛でることのできる人々ばかりです。そこでのロバの王子の心地良く満たされた気持ちが伝わってきます。幸せに包まれて話が終わり、読んでいて嬉しい気持ちになります。絵がとても素敵で、ロバの王子とお姫様が特にかわいらしく、その穏やかで優しい雰囲気がハッピーエンドの嬉しさを盛り上げてくれます。
すべてひらがなとカタカナで書かれており、読みやすい文章です。
小学2、3年生くらいからの音読学習にもよいと思います。

《あらすじ》
ロバの王子は賢く、振る舞いは品行方正です。けれども姿がロバであるために城の者たちにからかわれ、王様もおきさき様もかまってくれません。ロバの王子は一人さびしく暮らします。やがてロバの王子はリュートの弾き方を教わり素晴らしい腕前になります。ところが王様もおきさき様も、そのリュートのすばらしい音色にさえまったく関心を示しません。ロバの王子は悲しくなり、王子の装いを脱ぎ捨ててお城を後にし、あてもなく旅に出ました。 ロバの王子は立派なお城にたどり着き、リュートを奏でる腕前が認められ、城で暮らすよう迎え入れられました。このお城の人たちは皆、ロバの王子のふるまいに好意と敬意を持ち、リュートの音色に魅せられ、ロバの姿であることを気にもしません。そしてロバの王子は、大好きなお姫様に、お姫様もロバの王子が大好きであることを打ち明けられます。ロバの王子は、魔法使いが掛けた魔法によりロバの姿で生まれてきましたが、誰かに心から愛されるようになるまでロバの姿のまま、という魔法でした。お姫様の思いはたちまち魔法を解き、ロバの王子はりりしく美しい若者の姿になります。王子とお姫様は結婚し、幸せに暮らします。

0 件のコメント:

コメントを投稿