ラベル 個性を尊重する本 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 個性を尊重する本 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025/10/24

「しょうぼうじどうしゃ じぷた」

ジプタはジープを改良してポンプやサイレンを付けた消防車。
同じ署内の消防車や救急車と比べ、小さくて見劣りします。
小さな火事の時にしか出動しませんでした。
しかしある日、山小屋が火事になり、
山火事の惨事を防ぐために出動を命じられたのは、 
小さくても馬力があり、険しく細い道に向いているジプタでした。
 大活躍したジプタは子ども達の人気者になりました。

 
「しょうぼうじどうしゃ じぷた」
渡辺茂男 作、山本忠敬 絵
福音館書店 1966年

 

 

自分の持ち味を力にするジプタの物語。
1966年に発行されてからずっと愛され続けている絵本です。大人気の消防車が主人公で、コンプレックスを持つ主人公が、マイナスと思っていた自分の特性を生かして大活躍し、自他共に認める個性的なヒーローになるという普遍の爽快なストーリー。勇気と自信を持っている「じぷた」を、心の中に持ち続けていて欲しいと思います。
「消防自動車99の謎」(消防の謎と不思議研究会 編著, 二見書房, 2006年)によれば、消防車は活躍の場に求められる仕様で作られる車両で、1台1台が異なるのだそうです。また、隊員が署の上の階から下の階へ鉄棒にしがみ付いて滑り降りる「すべり棒」というのは、危険を伴うため今はもうないのだそうです。「じぷた」の絵本の中には「すべり棒」が出てきますので、「じぷた」を愛する人には少し残念ですね。



2025/09/16

「まっくろネリノ」

ぼくの名前はネリノ。
兄さんたちはきれいな色をしているのに、ぼくは真っ黒。
だから兄さんたちはぼくと遊んでくれない。
ある日、きれいな色の兄さんたちは、捕まえられて金の鳥かごの中に。
ぼくは知恵を絞って、兄さんたちを助け出そうと考えた。

「まっくろネリノ」
ヘルガ・ガルラー 作、矢川澄子 訳
偕成社 1973

仲間はずれのネリノは兄さんたちを助け出すために大活躍をし、それからは兄弟みんなが仲良しになる話です。救出に役立ったのは、ネリノが気にしていた黒いからだの色でした。兄さんたちに受け入れてもらったネリノの嬉しい気持ちって、多かれ少なかれ、子どもも大人も日常よく体験している気持ちなのではないでしょうか。読むとホッとして、こちらも嬉しくなります。
ところで、毛糸玉のようにコロコロと丸いネリノたちは、可愛らしくてユニークな姿が面白いです。こんなキャラクターに出会えることも「まっくろネリノ」の魅力だと思います。創作の楽しさや面白さも見せてくれる素敵な絵本ですね。
文章も何だか可愛らしく、リズミカルで読みやすいです。

すべてひらがなで書かれています。
小学1、2年生の音読学習にもぴったりだと思います。

2025/05/18

「ともだちがほしかったこいぬ LONESOME PUPPY」

ぼくはいつも独りぼっちで寂しかった。 
本当だよ。
どうしてかと言うとね ――。

「ともだちがほしかったこいぬ LONESOME PUPPY」
奈良美智 作
マガジンハウス 1999

この「こいぬ」が寂しかった理由は、その存在が世間一般とかけ離れていているから。けれども、そんな「こいぬ」に振り向いて興味を示し、戸惑いながらも心地良く接してくれる女の子が現れました。「こいぬ」と女の子との程良い関係をほほえましく感じます。
ひと目で奈良氏の作品とわかる強烈な表情に圧倒されつつ、優しい色合いでキュートな癒しの絵もあり、ファンは楽しめることと思います。

2025/02/28

「はなのすきなうし」自分に素直に生きる牛

フェルジナンドは、 仲間から離れて一人花の匂いを嗅いでいるのが大好きな、 
おだやかな牛です。 
賢いお母さんは、フェルジナンドの個性と満足感を認め、
好きなようにさせてやります。 
しかし、闘牛のための牛を探しに来た人間たちは、 
たまたま暴れまわったフェルジナンドに出会い、
連れて行ってしまいました。 
闘牛場に現れたおだやかなフェルジナンドは・・・・。

   
マンロー・リーフ 作、ロバート・ローソン 絵、光吉夏弥 訳
岩波書店

お母さんはちょっとしか登場しませんが、フェルジナンドの変わった個性を認める判断力に脱帽です。
さて、いつもは穏やかなフェルジナンドが力強い牛だと勘違いされて闘牛場へ出されてしまいますが、フェルディナンドはその状況でも慌てることなく、見栄を張ることもなく、いつもの調子で穏やかに芳しい花の匂いを堪能するのです。フェルディナンドの人に左右されない素直さにも脱帽です!
挿絵は全部白黒です。格調高い雰囲気なのにユーモラスな表情が豊かで、親しみの持てる素敵な絵です。