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2026/04/16

「わたし」谷川俊太郎さんと長新太さんの絵本

私、やまぐちみちこ。
男の子から見ると女の子。
お母さんから見ると娘のみちこ。
先生から見ると生徒。
キリンから見ると・・・。
アリから見ると・・・。
   
「わたし」かがくのとも傑作集
谷川 俊太郎 作、長 新太 絵
福音館書店 1981

この絵本は、自分を客観的に見る試みを最も単純に教えてくれます。「私」という存在が、様々な人たちから見るといろんな立場にあり、いろんな見方をされていることに気付きます。「自分の世界」から「他者との世界」へと踏み出した子どもたちに。


ただ、時代錯誤感はあります。初版は月刊かがくのとも1976年10月号ですので、人物の格好、色遣い、言葉などの古臭さが気になります。上に載せた画像は楽天ブックスやアマゾンで大きく見られます。
しかしすでに、私が子どもの頃に異様な雰囲気を感じていました。逆にその雰囲気におびき寄せられ、特に後半の「外人から見ると・・・。」「宇宙人から見ると・・・。」の言葉にドキドキさせられたものでした。インパクトが強いですね。

2026/04/12

「かみひこうき」

「かみひこうき」かがくのとも傑作集―わいわいあそび
小林実 作、林明子 絵
福音館書店 1976
日本図書館協会選定
全国学校図書館協議会選定
厚生省中央児童福祉審議会推薦
厚生省中央児童福祉審議会特別推薦

2種類の紙飛行機の折り方が図説してあり、つばさを工夫することによって飛び方が変わることも説明されています。これを参考にして、自分であれこれ試しながら遊べる紙飛行機遊びに直結します。私も子どもの頃、この絵本を見て紙飛行機を折って飛ばしたものでした。今でも人気があることを知って嬉しく思います。
林明子さんの優しい絵がかわいいです。
話し言葉でわかりやすく教えてくれるので、ひらがなが読めるお子さんなら一人でも読めます。

2026/01/02

「十二支のことわざえほん」

「十二支のことわざえほん」
高畠純 作
教育画劇 2006

ことわざって面白い!という気持ちになること間違いなしの絵本です。十二支にちなんだ22のことわざが紹介されています。22の内訳は、兎、竜、猪は1つずつ、犬は3つ、他は2つずつ。各ことわざには簡潔な説明が添えられおり、細かい解説がなくても、わかりやすくてユーモラスな絵を見れば一目瞭然です。何度も笑いがこぼれます。学びの要素がありながら難しいことがなく楽しめて、内容も厳選されているので1冊丸ごとを一気に読み通せる達成感があるのも魅力です。

幼児からでもだいたい理解できそうです。
特に小学生におすすめです。
漢字にはすべてふりがな付き。
説明文は、「一羽、二羽」以外はほとんどひらがなで書かれています。

2025/12/30

"Snow Crystals" 雪の結晶の写真集


"Snow Crystals"
W.A.Bentley, W. J. Humphreys, Dover Publications.

前回は「雪の写真家 ベントレー」について書きました。若き日のベントレーが人々に先駆けて雪の結晶の写真撮影法を確立し、撮り続けてきた写真の数々。ベントレーが撮った神秘的で息を呑む美しさの結晶の写真集 "Snow Crystals" は、今でも人々を魅了し続けています。初版は1931年で、選りすぐり2,000点以上の結晶を系統立ててびっしりと端正に並べ、W.J. ハンフリーの文章とともに構成されています。これまで改変することなく発行されてきたそうです。静かで清らかな印象の写真集で、眺めていると心が穏やかになります。「雪の写真家 ベントレー」が好きな方にはぜひともおすすめします。 

2025/11/26

「いろ いきてる!」

「いろ いきてる!」
谷川俊太郎 文 、元永定正 絵
福音館書店

とりどりの色が、にじんだり溶け合ったり、垂れたりしながら変化していく様子の一瞬をとらえ、見開きで2ページずつ短い言葉とともに掲載されています。それぞれの絵は大胆で、色はジワーッとにじんでいったり、どろりとゆっくり動いたり素早く弾けたり、ぽたぽたと落ちたりしている最中で、動き方や速さが伝わってきます。いいえ、人によって感じ方、想像の仕方は異なりますので、一瞬をとらえたこの絵本の静止画に、動きや速さを連想しないかもしれません。手に取った方はどのようにご覧になるでしょうか。感受性豊かな幼児期のお子さんは、どう反応するでしょうか。
絵の具を使って絵を描く経験の多いお子さん、造形や絵画の教室に通っているお子さんは、「いろ いきてる!」を文字通り実感するかもしれません。また、画用紙と絵の具のセットを用意してこの絵本の世界を試してみたら、様々な色の塗り方を学べそうですね。


2025/10/28

「ヘンリー・ブラウンの誕生日」

主人の意思ひとつで家族が売られ、離れ離れにされてしまう奴隷。
子どもの頃から働かされ、仕事にミスがあれば容赦なく怒鳴られ、たたかれる奴隷。
世の中に自由というものがあることを知りながら、自由に生きることのできない奴隷。
これらはすべて、ヘンリー・ブラウンという奴隷のことだ。
自由を求めて命がけの逃亡を計ったヘンリー・ブラウンの半生を描いた、
本当にあった話。
「ヘンリー・ブラウンの誕生日」
エレン・レヴァイン 作、カディール・ネルソン 絵
千葉 茂樹 訳
すずき出版 2008
コールデコット賞受賞


奴隷の暮らしや奴隷の気持ちとはどんなものだったのだろう。人権について知り、考える年齢になった小学生に読んであげて欲しいと思います。今、私たちに起こるとはとても考えられないことがかつて本当にあったのだと、歴史の醜い場面を感じることができる絵本です。
ヘンリー・ブラウンは、1815年にアメリカのヴァージニア州ルイーザで奴隷の子どもとして生まれたそうです。奴隷であるがゆえ、10代の半ばに両親と引き離され、その後さらに、結婚して築いた家族とも引き離されます。そしてついにヘンリーは、奴隷の身の上から解放されるための逃亡を決心します。逃亡は想像以上に過酷なものでした。ヘンリーの命がけの逃亡とは?結果はいかに?
この絵本の中に登場する奴隷たちは皆、抑圧されたうつむき加減の視線を見せています。その陰のある硬い表情の中にも、希望の見えない表情、大切な人を見守る表情、苦悩に満ちた表情といった様々な表情を見せ、その思いが読み手・聞き手の意識に入り込んできます。魂のこもった絵と言葉に、心が打たれることでしょう。コールデコット賞オナー賞を受賞した作品です。

2025/08/28

「父は空 母は大地 ―インディアンからの手紙―」

1854年、 アメリカ政府は、先住民の土地を買い取り居留地を与えると申し出た。ある先住民族を率いるシアトル首長は居留地への移動を承諾し、その部族の言葉で大統領あてに思いを伝えた。その言葉は英訳されて人から人へと変化しながら伝えられ、 心打つ美しい言葉となって今に残され、Chief Seattle's Speech として知られている。

「父は空 母は大地 ―インディアンからの手紙―」
寮 美千子 編・訳、篠崎 正喜 画
ロクリン社 2016

先住民にとって地上のものは聖なるものであり、大地と人々、動植物や川の水も一体で、命は巡り、つながっている。大地が豊かな理由はそこにある。
その土地を、白い人たちはどうやって買おうというのだろう。
白い人たちが作り出す文化が大地に残すものは、大地を潤しはしない。
けれどもどんな人間も大地の一部である。
だから白い人よ、この大切にしてきた大地を、いつまでも愛して欲しい。

シアトル首長はおおよそこのように、大地や自然を大切にしてきた理由、白人への不可解な思いを伝え、政府に願いを託したということです。
絵本の文章は流れるように心に染み入り、力強く深みのある美しい言葉で綴られていますので、ぜひ読んでみて欲しいです。
壮大な景色の中に、光や風、恵みや息吹を感じる絵は、インディアンの暮らしを思い描かせてくれます。楽天やアマゾンで中身を一部見られます。

漢字にはふりがな付きです。
小学生にぴったりの絵本です。


以前はパロル舎が絵本と対訳版を出版していましたが、現在は絵本のみロクリン社により復刊され、すべての絵も新しく描き下ろされています。

以前のものはこちらです。
左:対訳版、右:旧版 絵本

対訳版「父は空 母は大地 ―Chief Seattle's Speech 1854―」
(パロル舎 2002)
対訳版は左ページが日本語、右ページが英語。日本語文章は絵本と同じです。厚手の紙質で、詩集のような本に仕上がっており、抽象的なイラストもしゃれています。

旧版 絵本「父は空母は大地: インディアンからの手紙」
(パロル舎 1995)







2025/08/16

日本の色彩「22の色」

日本の色彩「22の色」
こどもの色彩感覚を育てる絵本シリーズ②
戸田幸四郎 作・絵
戸田デザイン研究室 1985
 
日本の伝統色から選び抜いた22色を紹介する、色の見本帳のような絵本です。色の名前には美しい響きがあり、見ているだけで心が穏やかになったり、楽しい気持ちになります。左のページに色の名前とその由来が書かれており、右ページにはその色で塗られた背景に、かわいらしくシンプルなイラストが描かれています。 日常の中で22色のどれかを見つけたら、きっとその名前を口にしたくなるでしょう。

漢字にはふりがなはありません。 
使用されている漢字は、色名の他、色、花、土、葉、江戸、西洋です。

2025/08/04

「しずくのぼうけん」

ある日、村のおばさんのバケツから飛び出した水のひとしずく。
しずくは独りで長い旅に出ました。
 
「しずくのぼうけん」
マリア・テルリコフスカ 作、ボフダン・ブテンコ 絵
うちだ りさこ 訳
福音館書店 1969


しずくは乾いて空へ昇ったり、雲に、雨に、氷になったりします。しずくが周囲の環境に身をゆだね、姿を変えながら冒険することにより、水が循環していくことが子どもにも何となくわかることでしょう。
絵は素敵な色使いで伸び伸びとして楽しく、とてもおしゃれ! そしてハイテンポの冒険に添えられた文章はリズミカルで、声に出して読むのが面白いです。文字は堀内誠一さんによる手書きの平仮名で書かれており、絵にマッチしていてかわいらしいです。
幼児向けの絵本です。

小学生向けには「ひとしずくの水」がおすすめです。水について、美しい写真とともに科学的に説明した本です。前回の記事でご紹介しています。

2025/08/02

「ひとしずくの水」 水の科学の本

「ひとしずくの水」
ウォルター・ウィック 作、 林田 康一 訳
あすなろ書房 1998



「ミッケ!」の作者による本です。表紙の美しい写真は、ひとしずくの水が落ちてしぶきをあげる瞬間をとらえた写真だそうです。この写真のしずくに惹かれてページをめくった者の関心をさらに惹き付けるべく、小さなひとしずくはもっともっと小さな「分子」の集まりである、と教えてくれます。そして、水の表面張力、毛管現象、温度による変化、さらには様々な凍り方、光の屈折による虹についても解説しています。水は生態に不可欠で、地球上を循環しているということで締めくくられています。とてもわかりやすいです。水についての科学を知り、簡単な実験をして理解することもできます。
美しい写真でいっぱいの本で学ぶのは心弾みます。蛇口から注ぎ出る水の分子たちはどんな旅をめぐって来たのだろうかと、壮大に思いを馳せてしまいます。
小学生全般にちょうどいいかと思います。

次回は、水の循環について幼児向けに描いた絵本「しずくのぼうけん」をご紹介します。

2025/07/30

「はじめてであう きょうりゅう」

「はじめてであう きょうりゅう」
バスチャン・コントレール 作、真鍋 真 訳
岩波書店 2025/7/22

恐竜を知り始める1、2歳くらい子ども向けの絵本です。かつて存在していた恐竜という生き物はどれくらいの大きさで、どんな暮らしをしていたのか、小さな子どもに想像しやすいように教えてくれます。ティラノサウルスの実物大の歯の絵もあります。ステンシルで描かれた優しい絵が美しく、感動しました。
表紙のシンプルなグラフィックは作者の作風のイメージ通りなのですが、そこからは中のページの世界観は想像つきませんでした。ネットで絵が紹介されている場所(下記)がありますので、見てみてください。

 ・作者のインスタ Bastien Contraire (@b.contraire) に掲載の恐竜はこの絵本の絵。
 ・岩波書店の公式サイトで2ページ分紹介されています。
 ・アマゾン Kindle の「サンプルを読む」で3ページ分紹介されています。

見てみると自由な色使いに気付きます。ステンシル技法の美しさに驚かされ、子どもを引き付ける色合いで仕上げた親しみやすさに感服しました。たちまち、作者バスチャン・コントレール氏のファンになってしまいました。

原書(フランス語版):
Dinosaures
by Bastien Contraire, LA PARTIE, 2021.

2025/07/28

「ぼく、だんごむし」

だんご虫の食べ物は?
だんご虫の外敵は?
もしもだんご虫が水の中に入ってしまったら?
その答えはこの絵本の中にあります。

「ぼく、だんごむし」 かがくのとも傑作集
得田之久 作、たかはしきよし 絵
福音館書店

身近で面白いだんご虫の知識がわかりやすく得られ、虫好きな子どもたちの好奇心を満たしてくれます。どの子もだんご虫博士になれそうです。
絵は美しく、見たい・知りたいところに集中させてくれて印象に残ります。ぜひ表紙を開いて眺めてみて欲しいと思います。

2025/07/18

「ことばのくにのマジックショー」

「ことばのくにのマジックショー」
大友剛・マジック
中川ひろたか・ことば、  大庭明子・絵
アリス館

マジックの入門書にいかがでしょうか。9つのマジックを、詩とにぎやかな絵とともに楽しめる本です。もちろんタネあかしとアドバイス付きです。小学生が試したり鑑賞したりするのにちょうどよいかなと思います。実際私が小学生にやって見せたら、私が下手すぎてすぐにタネを見破られたもの、おおーっと驚かれたもの、不思議に思われたものなど、様々な反応でした。気軽にできるものも、簡単なタネを仕込むものも、練習のいるものもあります。

2025/05/24

「タツノオトシゴ ―ひっそり くらす なぞの 魚―」

タツノオトシゴって、どんな生きもの?
泳ぎ方、敵から身を守る術、求愛や繁殖の仕方など、
タツノオトシゴの魅力的な独特の暮らしを教えてくれる、
楽しく上質の科学絵本です。

 
「タツノオトシゴ ―ひっそり くらす なぞの 魚―」
クリス・バターワース 文、ジョン・ローレンス 絵
佐藤見果夢 訳
評論社 2006

愛嬌ある姿のタツノオトシゴ。漢字で書くと、姿が竜に似ていることから「竜の落とし子」。英語でいうと、顔が馬に似ていることから "Seahorse"。不思議な姿の生き物に見えますが魚の仲間だそうです。 
細やかな木版画と心安らぐ色彩で表現した絵が美しく、版画好きの私は何度見ても飽きません。細やかな模様のあちこちに目移りしてしまいます。内容も子ども向けとはいえ侮れません。この絵本を読み、タツノオトシゴは用心深い習性を持つことを知り、その個性的な姿は、身を守るために実に上手い具合にできているのだと納得しました。

すべての漢字には振り仮名付きです。
魚が大好きな年長さんくらいから小学生にぴったりです。
また、小学4年生頃から、彫刻刀を用いた木版画の授業が始まります。この絵本の木版画はかなり凝っていますが、小学生でもその技術と表現を参考にし、模してみる価値はあると思います。

2025/04/28

「昆虫 ちいさななかまたち」美しい昆虫図鑑

草むらや林、水の中にいる昆虫たち。 昆虫たちのくらしをのぞいてみよう。

「昆虫 ちいさななかまたち」
得田之久 文・絵
福音館書店
厚生省中央児童福祉審議会特別推薦
全国学校図書館協議会選定
日本図書館協会選定

写実的な絵には、実物や写真を見たときとは違う迫力と感動があります。単に本物そっくりできれいなだけではなく、さりげなく対象物だけに焦点を当てたり魅力を際立たせたりして、見る人の感性にまっすぐに働きかけてくるのだと思います。 この絵本「昆虫」もそうです。生きた昆虫や死んだ標本とは違う、柔らかな色つやをした虫たち。ケムシやゴキブリでさえ、愛らしいと思って見つめることができるのです。

このような昆虫たちのひと時を眺めたり、

昆虫たちの生態に少し踏み込んだ図説を眺めたりして楽しめます。
図説は、下のように変態する様子、草食・雑食・肉食(捕虫して食べる)別に分けたもの、蜂のくらし、オス・メスの違いについて取り上げています。

4~6歳くらいからの自然大好きなお子さんに。特に、虫への興味を持ち始めたお子さんにいいと思います。小学生の理科の参考書としても役立つと思います。
すべての漢字にはふりがなが振ってあります。

2025/02/14

「これがほんとの大きさ!」世界記録サイズの生き物を実物大で見る!

世界一小さい哺乳類。 世界最大のガ、クモ、カエル、ミミズ。 世界最大の爬虫類に世界最大の卵や目玉! アリクイの舌の長さや世界最長のナナフシの長さ。 どのくらいでしょうか? 世界記録を持つ生き物たちのサイズを、 実物大の絵で見て驚き、楽しめる絵本です。

   
スティーブ・ジェンキンズ 作、佐藤見果夢 訳
評論社

表紙の手のひらはゴリラの手のひらです。この絵本を手にした人は、手のひらを表紙の絵に重ね合わせてしまうことでしょう。表紙をめくると、思いがけず小さな生き物のかわいらしさに驚いたり、肉食の生き物の鋭い目つきにヒヤッとしたりしながら、とても楽しく眺められます。巻末には登場した生き物たちの解説があり、大人も楽しめる絵本図鑑です。貼り絵で描かれており、美しい紙の質感や切り方で、愛嬌ある生き生きとした生き物たちを表現しています。子どもたちが貼り絵の作品を作る時には、強力な師匠にもなってくれる絵本です。 巻末の解説を除けば文章は短く簡単です。とはいえ、赤ちゃんに読んで見せたら迫力に驚いて泣いてしまうかも? 生き物に関心を持ち始める頃になったら読んであげられると思います。想像力や好奇心がきちんと知識に結び付く小学生くらいが最も楽しめるのではないでしょうか。
巻末の解説も含め、漢字にはすべてふりがな付きです。
これは、陸上最大の肉食動物アラスカヒグマの横顔。↓