2025/06/02

日本の神話 第一巻「くにのはじまり」

天の彼方に神の国、高天の原(たかまのはら)があり、そこは天之御中主(あめのみなかぬし)の神が治めていた。
その子孫である男神 イザナギと女神 イザナミは、天と地の間にかかる天の浮橋に立ち、天の沼矛(あめのぬぼこ)を使って海をかき混ぜた。
すると海上にオノゴロ島が生まれ、二人はそこに降り立ち結婚し、多くの子ども達 ―― 島々と神々が生まれた。
しかし、イザナミは最後に火の神を生んでやけどを負い、命を落として黄泉の国へと旅立ってしまった。
悲しんだイザナギは黄泉の国を訪れるが、そこで腐り果てたイザナミの姿を目にする。
怒ったイザナミは女鬼や雷神にイザナギを追わせるも逃げ切られる。
ついにはイザナミ自ら追いかけようとしたが、イザナギは黄泉の国を脱出し、出入り口を岩でふさいで閉ざした。
岩を隔てて、イザナミは「一日に千人を殺す」と言い放ち、イザナギは「一日に千五百人を生ませる」と言葉を交わす。
こうして世では、一日に千人が死に、千五百人が生まれるようになったという。
イザナギは水辺で死者の国のけがれを洗い清めると次々に神が生まれた。
中でも天照大御神には高天の原を、月読神には夜の国を、スサノオの命には海上を治めさせた。
赤羽末吉 絵、舟崎克彦 文
あかね書房


日本の神話は全六巻からなり、第一巻が「くにのはじまり」です。最初に出版されたのは第三巻「やまたのおろち」で、第一巻は最後に出版され、着手後7年目に全巻が完成したそうです。古事記を絵本化するにあたり、赤羽氏らは膨大な資料を解釈し、時間と情熱をかけて作成されました。日本の神話を絵本で読むならば、この全六巻が最も深く語りかけてくると思います。
私が子供の頃に読んだ本のイザナギを追うイザナミの絵は恐ろしく、怖い印象が強く残ってしまいましたが・・・、赤羽氏の絵はそんなに怖くはありません。怖さよりも物語をわかりやすく語る絵だと思います。
折り込み付録の中で赤羽氏は、絵本の絵について、「絵は文の言わんとすることを掘り下げて、それを絵画的にイメージアップさせて、そのドラマの心を読者に訴えるものでなくてはならない」と書かれています。視覚的にドラマの核心をつくよう演出するのだそうです。赤羽氏の絵によって物語が読み手にまっすぐ届くのは、その演出の効果なのですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿