雪女は巳之吉にこう言った。
「ここで見たことを誰にも言ってはいけない、言ったら殺してやる。」
その後、巳之吉は美しくて人柄のいい嫁をもらい、子宝にも恵まれて幸せに暮らした。
ある晩、巳之吉は、ずっと秘密にしていた雪女の話を嫁に打ち明けてしまう。
小泉八雲 作、平井呈一 訳、伊勢秀子 絵
偕成社
雪女の言いつけを破り、秘密を話してしまった巳之吉はどうなってしまうのか? 読み聞かせをすると、子どもたちはそわそわした反応をします。読み聞かせる声色によっては結構な怖さです。ゾクゾクと怖いだけではありません。深い愛情や、はかなく切ない思いの入り混じった物語です。挿絵は、凍りつくような冷たさと美しさが散りばめられていて心に染み入り、読む人を物語に引き込んでいくことでしょう。
この絵本は、日本に帰化した小泉八雲氏がラフカディオ・ハーンの名で英語で書いた作品を、訳者の平井氏が小学生でもわかる言葉で書いたものだそうです。
すべての漢字にはふりがなが振ってあります。
また、伊勢秀子氏のスケッチ画による絵本「ルリユールおじさん」も素敵です。「雪女」とは違うおもむきの画法です。伊勢氏の絵はいずれも物語をぐいぐいと引き立てて気持ちを盛り上げてくれる、読者の想像力を膨らませる絵だと思います。そういう絵本を子どもたちに丁寧に読んであげることは素晴らしいことだと思います。
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