コロンブスは、家業を継いで毛織物職人になることではなく、困難な夢を描いていた。マルコ・ポーロの「東方見聞録」に魅了されたコロンブスの夢は、ジパングを目指して西への航路を開拓することだった。天動説が支持されていた時代、はるか西への航海の先は未知の世界。周囲の人々に無謀だと言われながらも信念と熱意を訴え続け、ついに航海に出る機会を得たコロンブス。そして、月日を経てコロンブスはついに上陸する。コロンブスの新大陸発見までの物語。
ピーター・シス 作、吉田 悟郎 訳
ほるぷ出版
絶版になりました
コロンブスがジパングを目指す夢を抱き、上陸に至るまでに焦点を置いている物語です。ただし、コロンブスが上陸したのはご存知の通り実はアメリカ大陸でした。
フレスコ画の技法に似た技法で描かれたという絵は美しく繊細で深みがあり、巧みな想像力に満ちています。歴史を語るのにふさわしい丹念な絵であると同時に、愛嬌のある親しみやすさがあり、心踊る楽しい絵です。
すべての漢字にはふりがなが振ってあります。
小学生から中学生向けかと思います。
最近になって、コロンブス上陸後の侵略行為が残虐で問題視されており、コロンブスを知るには夢を追って偉業をなした面だけでは済まされなくなっています。ここには書きませんが、問題の面も知る必要があるでしょう。
コロンブス航海の予備知識として、当時は天動説が常識とされ、皿のように平らな世界だという概念だったこと、しかし船乗り達は地球が丸いことに気付いていたことを知っておくと、より理解が深まると思います。そしてコロンブスなどの大航海によって、やがては地球が丸いことが証明され、太陽が地球の周りを回っていると考える天動説から、地球が太陽の周りを回っているという地動説が唱えられていくようになります。
この一連の流れについては「天動説の絵本」がたいへん参考になると思います。次回は「天動説の絵本」について書きます。
以下の人物の年表は参考までに。
クラウディオス・プトレマイオス(83年頃~168年頃)
天動説を唱え、16世紀まで支持される。
マルコ・ポーロ(1254年~1324年)
1298年「東方見聞録」を出版
クリストファー・コロンブス(1451年~1492年)
1492年 新大陸を発見する
ニコラウス・コペルニクス(1473年~1543年)
亡くなる直前の1543年に地動説を唱えた。
ガリレオ・ガリレオ(1564年~1642年)
地動説を唱えて迫害された。
ジョルダーノ・ブルーノ(1548年~1600年)
地動説を唱えて1600年に火刑に処せられた。
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