2025/04/20

「まってる。」大人が欲しい絵本

ある男の子が家族のに幸せに包まれて成長する。
大人になり大切な人と出会って結ばれ、
新しい家族を作る。
年老いて、大切な人を失う悲しみと、
新たな家族を迎える喜びを得る。
一人の人生を、20数個の「まってる。」という言葉を添え、心のアルバムをめくるように描かれています。

     
デヴィッド・カリ、セルジュ・ブロック、小山薫堂 訳
千倉書房


小山薫堂さんが訳した、横に細長い洒落た絵本です。中身のページはラフな黒い線のイラストに赤い毛糸の写真を用いているのが印象的です。
待つことの先には、毎度繰り返すできごともあれば未知のできごともあり、心が膨らむ楽しみや期待もあれば、心が押しつぶされそうな不安や悲しみへの覚悟もあるのですね。日常当たり前のあらゆる待ち時間の中に、こんなにも人の人生が反映されているとは。この絵本を読んで、このような考えに初めて思いをめぐらせました。読めば読むほど味わい深くなり新しい考察が舞い降りてくる、イラストや行間に読み手の心理や人生が映し出される絵本だと思います。月日が経つ速さに驚く毎日の中で、「待つ」ことの意味や重さを考えさせられます。大人向けの絵本かなと思います。

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