2025/02/22

「木のうた」文字はなくても多くを語る美しい絵本

雪が残る地に静かに枝を広げて立つはだかの木。
雪の下には草花の種がこぼれ落ちており、 土の中には冬眠中のリスが丸くなっている。
雪が解けて春がやって来ると、 草花の種もリスも眠りから覚め、活動を始めます。
1本の木を舞台にし、1年間の移り変わりが描かれています。

 
イエラ・マリ 作
ほるぷ出版

文字のない絵本です。
木の落ち葉は腐葉土となり草木の命を育む。鳥は木の枝で巣作りをし新しい命を育む。木の実のどんぐりはリスの命を育む。このような季節の移り変わりと命の引継ぎ、恵み恵まれる関係が、ページをめくる度に展開されます。最後のページはまた最初のページにつながり、季節と命の循環を眺めながら、繰り返しページをめくる楽しみがあります。
真冬のページは白と黒の点描でのみ描かれており、寒々とした静寂に包まれていて印象的です。ひたすら耐え忍ぶような厳しさを感じさせられます。けれどもその情景に隠れた所で、命は生き生きと活動する時を待ちわびているのですね。

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