大国主には八十神と呼ばれる兄弟達がおり、因幡の国の八上姫を嫁に迎えるため、皆で出雲の国を旅立った。
やがて八十神たちは皮をはがれたウサギに出会う。
彼らはウサギに、「海水で体を洗い、風にさらされれば元通りになる」と教えて立ち去った。
それを信じたウサギは苦しみ、そこに遅れて大国主が通りかかった。
ウサギは、サメをだましたために皮を剥ぎ取られたのだと告げた。
大国主はウサギの体を治す方法を教えると、ウサギは回復し、「八上姫を嫁にするのは大国主だ」と伝えた。
やがて、八上姫が大国主に嫁ぎたいことを知った八十神たちは、大国主の命を執拗に狙う。
逃げ場をなくした大国主は、スサノオのいる黄泉の国へ向かう決意を固めた。
赤羽末吉 絵、舟崎克彦 文
あかね書房
「いなばのしろうさぎ」に登場するワニについては諸説ありますが、赤羽氏は出雲での取材を経て、最終的にワニ鮫というサメとして描くことに決めたそうです。サメの姿で描かれていることで、違和感がなくわかりやすいと感じました。また、「しろうさぎ」は真っ白ではなく、薄い茶色で描かれています。この色合いも考察を重ねられたうえに決定されたそうです。いずれも折り込み付録で詳しく解説されています。
私自身、「いなばのしろうさぎ」といえば真っ白のウサギが出てきて、日本の海にワニが出てくる、という印象がありましたが、この絵本と折り込み付録の解説を読み、秘密を教えてもらったような嬉しい気持ちになりました。膨大な資料を手繰り寄せて絵本を作って下さった赤羽氏と舟崎氏に感謝の気持ちでいっぱいです。鋭い子どもたちにも、どうしてワニが?? と聞かれずに楽しんでもらえる話です。
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