しかし人間は赤鬼を怖がり、近寄ろうともしない。
すると仲間の青鬼は、赤鬼は優しく安心だと人間にわからせる方法を提案する。
人間の家で青鬼が暴れ、それを赤鬼が退治してみせるのだ。
青鬼はすぐに実行し、思惑通り、赤鬼と人間は仲良くなることができた。
一方、悪役を演じた青鬼は、
赤鬼のために自ら姿をくらましてしまうのだった。
浜田広介 作、梶山俊夫 絵
偕成社
青鬼が赤鬼のために下した切ない決断に、どれだけの人が涙したことでしょう。自分とは違う者への先入観と恐れ。何かのために別の何かが犠牲になるという事実。他に手立てはなかったのかというもどかしさ。このような身近な難題を盛り込んで、人間や鬼たちの心情の変化が繰り広げられます。「泣いた赤おに」の本は何種類も出版されていますが、私は梶山俊夫さんが挿絵を描いたこの絵本に特に引き付けられました。表紙の、旅立ってしまった青鬼を思って山々の中で独り悲しむ赤鬼の姿は、「泣いた赤おに」の読後感そのものだと思います。
原作全文が載っています。
使われている漢字は、主に小学1、2年生で習う漢字の他、3年生で習う「客、苦、板、柱、皮、庭」などや、4年生で習う「松」が出てきます。
すべて振り仮名付きです。
小学2、3年生以上のお子さんの音読学習にもいいと思います。
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