2025/06/24

「たいせつなこと」

「スプーンは たべるときにつかうもの
てでにぎれて くちのなかに あうんとおさまり・・(中略)・・ 
でも スプーンにとってたいせつなのは
それをつかうと じょうずにたべられる ということ」
「りんごはまるい  りんごはあかい
したくのできたりんごは きから ぽたんと おちてくる・・(中略)・・ 
でも りんごにとってたいせつなのは たっぷり まるい ということ」
(「たいせつなこと」から抜粋して中略の上引用しました。)

 
マーガレット・ワイズ・ブラウン 作、レナード・ワイスガード 絵
内田也哉子 訳
フレーベル館


花や虫、雨や風などの自然の中のもの、グラスやスプーンなどの身近な物について、深く味わい、その特性と一番大切なことは何かを語りかけています。愛情を持ち五感を駆使した味わい方、それ自体が、人が大人になっていく上で不可欠な「たいせつなこと」として最後の場面につながります。その最後に取り上げられている物事は『あなた』です。『あなたは あなた』『 でも あなたにとってたいせつなのは 』この後に続く言葉が絵本の締めくくりの言葉となります。何でしょう?思っていることと同じかもしれません。
内田也哉子さんの日本語訳は、選び抜かれた一つ一つの言葉があらわす物事の状態や雰囲気、音や形、温度や感触などが心地良く伝わって響いてきて、美しいと思います。また、温かみのある優しい絵は、気持ちを穏やかにしてくれます。この本に使われている紙は、表紙も中身も画用紙のさらりとした質感を思わせる紙質です。この感触も私は好きです。
原作ができたのは何十年も前ですが、普遍のことが題材なので古さは感じられません。ずっと読み継がれていって欲しい素敵な絵本です。

すべてひらがなとカタカナで書かれています。
小学1、2年生の音読学習にもぴったりです。
学校で詩を学ぶ際の参考にもなると思います。

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