女の子はじっと立ったまま、
海の向こうには何があるのかなと思い巡らせます。
五味太郎 作
絵本館
下から3分の1の女の子と海の絵は、表紙から最後まで同じです。上から3分の2の空の部分を白いキャンパスに見立てるようにして、女の子は「キャンパス」いっぱいの空想を描いていきます。水平線上の船がページをめくるたびに進んで行き、時間の流れを感じさせてくれます。最後の方で女の子が思い描く「だれか」の場面が私はとても好きで、ぜひとも手にとって読んでみて欲しいとお勧めします。ここで一気に心が捕らえられることでしょう。
誰もが子どもの頃、同じように空想に浸ったことがあると思います。再びそれを疑似体験したり、共感したりできる素敵な絵本です。絵はどのページも額縁に入れて飾りたいような美しさで感銘を受けます。私の手元にある『うみのむこうは』は古い月刊「かがくのとも」(福音館書店)で、経年のため茶色っぽくなっていますが、大事に読み継いでいます。
文は1~2歳くらいからでもわかるシンプルなものです。
味わいを噛みしめられるようになるのはもっと先のことかも知れません。
また、自分で音読を始める頃に選ぶ本としてちょうどよさそうです。