ある王の息子である3人の王子、フセイン、アリ、アーマッドは、
3人ともノア・アルニハ王女と結婚を望んでいた。
3人は王に命じられ、世にも珍しい宝を探しに旅立った。
最も珍しい宝を持ち帰った者が王女と結婚することができるのだ。
やがて3人がそれぞれに宝を入手し再会した時には、王女は死の淵にあった。
王女を救うにはどの宝も不可欠で優劣つかず、王女との結婚相手は決まらない。
次に王は、3人の王子の中で弓矢を最も遠くに放った者が王女と結婚できることにした。
はたして誰が王女と結婚できるのか!?
「空とぶじゅうたん」アラビアン・ナイトの物語より
マーシャ・ブラウン 再話・絵、松岡享子 訳
アリス館
2008年12月初版発行
絶版になりました
マーシャ・ブラウンのエキゾチックで色彩豊かな、にぎやかな雰囲気の絵本です。リチャード・バートンが翻訳した千夜一夜物語をもとに、1955年に制作されたそうです。マーシャ・ブラウンがまとめ上げたこの絵本のラストは、3人の王子の中からノア・アルニハ王女との結婚相手が決まり、他の2人もそれぞれ新たな暮らしをみつけて穏やかに幕を下ろすハッピーエンド。しかし、元々の空飛ぶ絨毯の話は、王女との結婚相手が決まってから一騒動あり人間関係がもつれます。この絵本ではそれを、「・・・それは、またべつの物語です。」と脇に置いて締めくくっています。丸くおさめつつ、「べつの物語」を匂わせる工夫がみごとです。原作に忠実にまとめ上げていると言えます。
ところで、3人の王子は王の息子ですが、ノア・アルニハ王女は王の姪なのです。王子たちとノア・アルニハ王女は、いとこ同士ということです。