2025/12/14

「十万本の矢 ―三国志絵本―」

およそ1800年前、 中国では、魏、呉、蜀の3つの国が天下を争っていた。
中でも蜀の軍で戦略を立てていた孔明はたいそうな知恵者であった。
軍勢の強い魏を打ち破るために呉と蜀は手を組むことになり、
戦いを前に孔明は、10日以内に10万本の矢を用意するよう指示された。
実は、意図的に矢を作る職人も材料も用意されない状況にあったのだが、
孔明は3日もあれば十分だと胸を張る。
そして、約束通りに3日で10万本以上の矢を手に入れた。
自信と余裕に満ちた孔明の策略を描く物語。

「十万本の矢 ―三国志絵本―」
唐 亜明 文、于 大武 絵
岩波書店 1997

「三国志演義」の中でも重要な赤壁の戦いにおいて、人気のある「十万本の矢」の物語。この孔明の見事な武勇伝に焦点を絞って描いた絵本です。頭脳明晰で堂々とした孔明には心底から感心します。この絵本は人物が3、4頭身の親しみやすい姿で描かれ、歴史物語の情緒漂う雰囲気と戦いの緊張感がある中にも、少しコミカルな楽しさとサッパリとした後味が楽しめます。つわもの達が何だかかわいいのが私は気に入っています。

小学生におすすめの絵本です。すべての漢字には振り仮名付きです。
絵本が気に入ったら、三国志の実写版、映画「レッドクリフ PARTⅡ」もいかがでしょうか。PARTⅡの見どころである、赤壁の戦いで10万本の矢が放たれる迫力のシーンは目に焼き付きます。ただ、10万本の矢のシーンは開始40分程から登場しますが2時間20分超えの長編で、残酷な戦闘シーンが多く登場します。

「十万本の矢」の前後の話を、次に簡単にまとめておきます。
 「三国志 ― 三国志演義 ―」(集英社)を参考にしました。

 猛威を振るう曹操の軍の脅威にさらされていた劉備の軍。その軍師・孔明は、曹操軍を打ち負かすために、劉備と孫権の連合を考え、孫権に面会するため呉を訪れた。 孫権軍の軍師・周瑜は、孔明の登場に警戒していた。曹操に降伏すべきだと主張する者もいたが、孔明は巧みな話術と知恵をもって周瑜の心を動かし、曹操と戦う決意を固めさせた。 しかし周瑜は、才能ある孔明がいつか敵に回ることを恐れ、その命を奪う機会をうかがうようになる。そこで周瑜は孔明に、曹操軍と戦うための矢を10日以内に十万本用意するよう命じた。これは孔明をおとしいれるための無理難題の策だった。しかし、孔明はこう答える。「3日で十万本の矢を用意しよう。さもなければこの首を差し上げる。」 周瑜は、これで孔明を始末する口実ができたとほくそ笑んだ。 ところが、孔明は深い知識と知恵により、約束通りに3日で十万本を超える矢を手に入れたのであった。こうして周瑜の軍は、十万本を超える矢と孔明の策略を携え、天下を取ろうともくろむ曹操との「赤壁の戦い」に挑み、見事に勝利したのだった。 一方、孔明は周瑜に命を狙われていることを察していたため、十万本の矢を手に入れる前から、劉備の元へ戻る計画をたてていた。彼は自らの身を守りつつ、戦局を動かす天才軍師であった。 

 
「三国志 ― 三国志演義 ―」子どものための世界文学の森
羅貫中・作、三上修平・訳(集英社 1995)
楽天 / アマゾン

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