2025/12/30

"Snow Crystals" 雪の結晶の写真集


"Snow Crystals"
W.A.Bentley, W. J. Humphreys, Dover Publications.

前回は「雪の写真家 ベントレー」について書きました。若き日のベントレーが人々に先駆けて雪の結晶の写真撮影法を確立し、撮り続けてきた写真の数々。ベントレーが撮った神秘的で息を呑む美しさの結晶の写真集 "Snow Crystals" は、今でも人々を魅了し続けています。初版は1931年で、選りすぐり2,000点以上の結晶を系統立ててびっしりと端正に並べ、W.J. ハンフリーの文章とともに構成されています。これまで改変することなく発行されてきたそうです。静かで清らかな印象の写真集で、眺めていると心が穏やかになります。「雪の写真家 ベントレー」が好きな方にはぜひともおすすめします。 

2025/12/28

「雪の写真家 ベントレー」

1865年、アメリカ、バーモント州の豪雪地帯に生まれたウィルソン・ベントレー。彼は雪の結晶の美しさに魅せられ、10代の頃、雪の日には雪の結晶の観察やスケッチに没頭した。雪の結晶はすべてが異なる形をしているうえ、すぐに はかなく解けてしまう。これを何とか写真に残し、人々に結晶の美しさを伝えたい。こう願うベントレーは、ついに17歳の時に両親にカメラを買ってもらい、工夫や失敗を繰り返してようやく雪の結晶の美しい写真を取ることに成功した。しかし、当時はその写真に興味を持つ人はおらず、後にベントレーの雪の研究が認められて結晶の写真集が出版されるまでに何十年もの年月がかかった。そして、その写真集 "Snow Crystals" は世界中を魅了し続けている。 美しい自然を愛でるのが大好きだったベントレーの、とりわけ雪の結晶に情熱を注いだ生涯を描いた絵本。

「雪の写真家 ベントレー」
ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン 作、メアリー・アゼリアン 絵
千葉 茂樹 訳
BL出版 1999年
コールデコット賞受賞
アメリカ図書館協会優良児童図書

雪の季節になると読み聞かせたくなる、温かな版画で描かれた絵本です。ベントレーが雪をひたむきに愛する姿と、人々にも惜しみなく雪の結晶の美しさを披露する姿には、何度読んでも心が動かされ、幸せな気持ちになります。また、農業を営む両親がベントレーのために高価なカメラを大奮発して買ってくれる場面では、親としての見事な決断力があったことを知らされます。大きな愛情と深い理解があってこそ、ベントレーは偉業を成し遂げたのですね。地元のバーモント州では有名人で、彼の功績は地元の誇りとなっているそうです。
次回は ベントレーが撮影した雪の結晶の写真集 "Snow Crystals" をご紹介します。

簡単な漢字にはふりがなは付いていませんが、小学3、4年生から自分で読めると思います。


原書:
   
"Snowflake Bentley"
by Jacqueline Briggs Martin (Author), Mary Azarian (Illustrator), 
Houghton Mifflin, 1998.

2025/12/26

「日本のことわざかるた」

新装版「日本のことわざかるた」
西本鶏介 文、いもとようこ 絵
ポプラ社 2023

子どもの頃に遊んだかるたの読み札の文を、私はいまだに思い出すことがあります。という訳で、我が家のかるたは、あとあと思い出しても役に立つ実用的なものを選んでみました。
いもとようこさんの優しくて可愛い絵が魅力的な「日本のことわざかるた」は、遊ぶうちに44のことわざに親しむことができます。絵札の裏側にはことわざの意味と例文が書いてあるので、取った絵札の意味をすぐに確認できるのが便利です。

2002年刊行の品が同じ内容のまま新装版になっています。
我が家のものは旧版ですが、かるた1枚のサイズは910mm×630mmで一般的なトランプくらいの大きさ、角は丸くしてあるので扱いやすいです。
読み札はひらがな書きです。
絵札裏の解説文の漢字にはふりがな付き。

2025/12/14

「十万本の矢 ―三国志絵本―」

およそ1800年前、 中国では、魏、呉、蜀の3つの国が天下を争っていた。
中でも蜀の軍で戦略を立てていた孔明はたいそうな知恵者であった。
軍勢の強い魏を打ち破るために呉と蜀は手を組むことになり、
戦いを前に孔明は、10日以内に10万本の矢を用意するよう指示された。
実は、意図的に矢を作る職人も材料も用意されない状況にあったのだが、
孔明は3日もあれば十分だと胸を張る。
そして、約束通りに3日で10万本以上の矢を手に入れた。
自信と余裕に満ちた孔明の策略を描く物語。

「十万本の矢 ―三国志絵本―」
唐 亜明 文、于 大武 絵
岩波書店 1997

「三国志演義」の中でも重要な赤壁の戦いにおいて、人気のある「十万本の矢」の物語。この孔明の見事な武勇伝に焦点を絞って描いた絵本です。頭脳明晰で堂々とした孔明には心底から感心します。この絵本は人物が3、4頭身の親しみやすい姿で描かれ、歴史物語の情緒漂う雰囲気と戦いの緊張感がある中にも、少しコミカルな楽しさとサッパリとした後味が楽しめます。つわもの達が何だかかわいいのが私は気に入っています。

小学生におすすめの絵本です。すべての漢字には振り仮名付きです。
絵本が気に入ったら、三国志の実写版、映画「レッドクリフ PARTⅡ」もいかがでしょうか。PARTⅡの見どころである、赤壁の戦いで10万本の矢が放たれる迫力のシーンは目に焼き付きます。ただ、10万本の矢のシーンは開始40分程から登場しますが2時間20分超えの長編で、残酷な戦闘シーンが多く登場します。

「十万本の矢」の前後の話を、次に簡単にまとめておきます。
 「三国志 ― 三国志演義 ―」(集英社)を参考にしました。

 猛威を振るう曹操の軍の脅威にさらされていた劉備の軍。その軍師・孔明は、曹操軍を打ち負かすために、劉備と孫権の連合を考え、孫権に面会するため呉を訪れた。 孫権軍の軍師・周瑜は、孔明の登場に警戒していた。曹操に降伏すべきだと主張する者もいたが、孔明は巧みな話術と知恵をもって周瑜の心を動かし、曹操と戦う決意を固めさせた。 しかし周瑜は、才能ある孔明がいつか敵に回ることを恐れ、その命を奪う機会をうかがうようになる。そこで周瑜は孔明に、曹操軍と戦うための矢を10日以内に十万本用意するよう命じた。これは孔明をおとしいれるための無理難題の策だった。しかし、孔明はこう答える。「3日で十万本の矢を用意しよう。さもなければこの首を差し上げる。」 周瑜は、これで孔明を始末する口実ができたとほくそ笑んだ。 ところが、孔明は深い知識と知恵により、約束通りに3日で十万本を超える矢を手に入れたのであった。こうして周瑜の軍は、十万本を超える矢と孔明の策略を携え、天下を取ろうともくろむ曹操との「赤壁の戦い」に挑み、見事に勝利したのだった。 一方、孔明は周瑜に命を狙われていることを察していたため、十万本の矢を手に入れる前から、劉備の元へ戻る計画をたてていた。彼は自らの身を守りつつ、戦局を動かす天才軍師であった。 

 
「三国志 ― 三国志演義 ―」子どものための世界文学の森
羅貫中・作、三上修平・訳(集英社 1995)
楽天 / アマゾン

2025/12/08

「サンドイッチつくろう」

「サンドイッチをつくろう」かがくのとも傑作集
さとう わきこ 作
福音館書店 1993

楽しいレシピ本のようなロングセラーの絵本です。サンドイッチを作る手順を物語風に描いており、話を読み進めればレシピもわかります。読んでいると、いえ、思い出すだけで食べたくなる王道のサンドイッチが作れますよ。絵本の世界を実際に形にする体験ができます。タイトルの文字も良いですね!

2025/12/06

「ヒギンスさんととけい」

ある日、ヒギンスさんは屋根裏部屋で立派な時計をみつけました。
この時計がちゃんと合っているかどうか調べるには
どうしたらいいだろう?
ヒギンスさんは考えました。
そこで、新しい時計を買ってきました。
ところが・・・。

「ヒギンスさんととけい」
 パット・ハッチンス 作、田中 信彦 訳
ほるぷ出版 2006


時間の移ろいを面白おかしい物語にした絵本です。時計が読めるようになってきたら楽しめます。ヒンギスさんは時刻を確かめるために奔走し、ちょっとしたドタバタ劇になり笑わせてくれます。困りはてたヒギンスさんをようやく救い、感心させたものは!? 最後の「めでたしめでたし」という感覚の結びがすっきりとしていて、私は大好きです。

小学生対象のお話し会にもおすすめです。 
すべてひらがなで書かれています。
音読学習にも読みやすくていいと思います。

2025/12/04

「おまたせクッキー」

お母さんがビクトリアとサムにクッキーを焼いてくれました。 
そこに子どもたちが次々と遊びに来て、 
どんどんクッキーの分け前が少なくなっていき・・・。

パット・ハッチンス 作、乾 侑美子 訳
偕成社

みんなで分かち合うすばらしさを軽やかに温かく描き、最後にあっと言わせる傑作絵本です。 よく見るとクッキーは12枚あります。読み手の子供たちは、ビクトリアとサムのお母さんが焼いたクッキーが12枚であることに気付くかもしれません。分けやすい12枚という便利な数が話をうまい具合に展開させ、最後にはほっとあたたまる締めくくりとなっています。さり気なく知的なお話です。
ついでに、12枚のクッキーを人数で割る、割り算まで教えてしまいましょう!答えは絵本の中に「六つずつだね」「三つずつだ」と出てきます。数って面白い!と思う楽しいひと時になるに違いありません。
というのも・・・、3年生になるとさっそく割り算を習い、まず初めに、まさに次のような問題を考えさせられるからです。 「12枚のクッキーがあります。3人で同じ数ずつ分けると、1人分は何枚になるでしょうか。」 これを習う前に、「おまたせクッキー」を読んでおくというのはいかがでしょうか?

2025/12/02

バーバラ・クーニーは、聖書のイエス誕生の話のみを描いた絵本「うまやのクリスマス」の絵も描いています。 イエスの誕生の物語は、ざっと次のような物語です。 イエス・キリストの生まれた当時のユダヤ人の王国パレスチナはローマ帝国の支配下にあった。ローマ皇帝アウグストゥスは、領土の人口調査をするために国中の男たちに故郷へ戻るよう命じた。ナザレ村に住むヨセフも、婚約者のマリアとともに生まれ故郷のベツレヘムへ向かっていた。ベツレヘムの町は帰郷する人々であふれて宿屋はいっぱいだったため、休むところは馬小屋しかなく、そこでマリアは、男の子、イエスを産んだ。イエスは布に包まれ、飼い葉桶の中に寝かされた。その夜、ベツレヘム付近で羊の番をしていた何人かの羊飼いのもとに天使が現れ、ベツレヘムに主キリストは生まれ、飼い葉桶の中で眠っている、と告げた。羊飼いたちはベツレヘムへ急ぎ、馬小屋の飼い葉桶で眠るイエスを見つける。同じ日の夜、「東方の三博士」は夜空にひと際大きく輝く星に気付き、それは新しい指導者となる「救い主」誕生の印であるに違いないと考え、その星に導かれて歩いた。これを知ったヘロデ王は、その子に自分の地位を奪われるのを恐れ、「東方の三博士」に、その子を見つけたら知らせよと命ずる。星に導かれてイエスの元にたどり着いた三博士は、イエスに贈り物の黄金と乳香と没薬を捧げ、イエスを見つけたことをヘロデ王に知らせに行かずに自分の国へ帰った。 だまされたことを知ったヘロデ王は、ベツレヘムの男の赤ん坊すべてを殺そうと家来たちを送る。ヨセフは夢の中でお告げを受けてこれを知り、イエスとマリアとともにエジプトへと逃げた。