2026/04/16

「わたし」谷川俊太郎さんと長新太さんの絵本

私、やまぐちみちこ。
男の子から見ると女の子。
お母さんから見ると娘のみちこ。
先生から見ると生徒。
キリンから見ると・・・。
アリから見ると・・・。
   
「わたし」かがくのとも傑作集
谷川 俊太郎 作、長 新太 絵
福音館書店 1981

この絵本は、自分を客観的に見る試みを最も単純に教えてくれます。「私」という存在が、様々な人たちから見るといろんな立場にあり、いろんな見方をされていることに気付きます。「自分の世界」から「他者との世界」へと踏み出した子どもたちに。


ただ、時代錯誤感はあります。初版は月刊かがくのとも1976年10月号ですので、人物の格好、色遣い、言葉などの古臭さが気になります。上に載せた画像は楽天ブックスやアマゾンで大きく見られます。
しかしすでに、私が子どもの頃に異様な雰囲気を感じていました。逆にその雰囲気におびき寄せられ、特に後半の「外人から見ると・・・。」「宇宙人から見ると・・・。」の言葉にドキドキさせられたものでした。インパクトが強いですね。

2026/04/14

「三びきのこぶた」

貧しくて子豚たちを育てられなくなった母さん豚は、
三匹の子豚たちを自分で生きていくようにと送り出しました。
子豚たちはそれぞれ、わらの家、木の枝の家、レンガの家を建てました。
そこへ狼がやってきます。
「三びきのこぶた」
ポール・ガルドン 作、晴海耕平 訳
童話館出版 1994
日本図書館協会選定
全国学校図書館協議会選定

狼は1番目と2番目の子豚を食べてしまいます。3番目の子豚は賢く、狼があの手この手でしとめようとするのを上手くかわします。そして終いには、3番目の子豚はしつこい狼をやっつけてしまいます。どのようにしてやっつけたのでしょうか?
この「三びきのこぶた」は昔話に忠実に作られ、食う・食われる関係が包み隠さずに表現されています。ところが3番目の子豚は、しつこく狙ってくる狼に対して知恵を出し、この関係を大逆転させてしまうのです。先ほど述べた「どのようにしてやっつけたのでしょうか?」という問いの答えは、もうおわかりだと思います。
食う・食われるという厳しい現実と、物語だからこそできる大逆転劇が味わえる、数少ない「三びきのこぶた」の絵本です。ポール・ガルドンの愛嬌ある明るい絵で楽しめます。

2026/04/12

「かみひこうき」

「かみひこうき」かがくのとも傑作集―わいわいあそび
小林実 作、林明子 絵
福音館書店 1976
日本図書館協会選定
全国学校図書館協議会選定
厚生省中央児童福祉審議会推薦
厚生省中央児童福祉審議会特別推薦

2種類の紙飛行機の折り方が図説してあり、つばさを工夫することによって飛び方が変わることも説明されています。これを参考にして、自分であれこれ試しながら遊べる紙飛行機遊びに直結します。私も子どもの頃、この絵本を見て紙飛行機を折って飛ばしたものでした。今でも人気があることを知って嬉しく思います。
林明子さんの優しい絵がかわいいです。
話し言葉でわかりやすく教えてくれるので、ひらがなが読めるお子さんなら一人でも読めます。

2026/04/10

「そらいろのたね」

ゆうじが模型飛行機を飛ばして遊んでいると
キツネがやって来ました。
ゆうじが宝物にしている模型飛行機とキツネが宝物にしている空色の種を、
互いに交換することにしました。
ゆうじが空色の種を蒔き、水をやると、何と家が生え育ちました。

「そらいろのたね」
中川季枝子 作、大村百合子 絵
福音館書店 1967

 種を蒔いて植物を育てると、見守るのが毎日の楽しみになります。「そらいろのたね」では、どんどん大きく育つ楽しみを不思議な物語に仕立ててあります。「ゆうじ」は、空色の種を蒔いて育てた空色の家に動物たちを招き入れますが、それを見たキツネは――。キツネの役は、他の動物ではなくキツネこそがふさわしいと納得できます。けれども、何だか憎めないキツネさんですね。

2026/04/08

「どろんこハリー」

ハリーは黒いぶちのある白い犬で、
お風呂に入るのだけは大嫌いです。
ある日、ハリーは遊びに出て泥だらけになり、
白いぶちのある黒い犬になってしまいました。
家に帰っても、家族は誰もハリーだと気付いてくれません。
そこでハリーは・・・。

「どろんこハリー」世界傑作絵本シリーズ
ジーン・ジオン 作、マーガレット・ブロイ・グレアム 絵
渡辺茂男 訳
福音館書店 1964

ハリーが楽しく無邪気に泥だらけになって遊ぶ姿は、どろんこ遊びが大好きな子ども達の共感を得ることでしょう。「黒いぶちのある白い犬」のハリーが次第に汚れて「白いぶちのある黒い犬」になっていく姿を、ページをめくる度にどこにいるのか探すのも楽しいです。どのページも幸福感のある雰囲気です。子ども心をつかんで楽しく幸せな気分に浸れるのが、何十年も愛される理由なのかもしれません。

すべてひらがなとカタカナで書かれています。

原書:
Harry the Dirty Dog
Written by Gene Zion, Pictures by Margaret Bloy Graham, 
Harper & Row, 1956.

2026/04/06

「ろくべえ まってろよ」

5人の子どもたちは、 
穴の中に落ちた犬の「ろくべえ」をみつける。
子どもたちが知恵を出し合い、
力を合わせて「ろくべえ」を助け出すまでの物語。
「ろくべえ まってろよ」
灰谷健次郎 作、長新太 絵
文研出版 1975
厚生省中央児童福祉審議会推薦図書
全国学校図書館協議会選定図書
日本図書館協会選定図書
よい絵本選定図書
子どもたちは大人たちに助けを求めましたが、大人たちは素っ気なくて少しも頼りになりません。大人が動かない中で子どもたちは自ら問題解決に挑みます。その姿に希望と頼もしさを感じ、ただ心配するだけでなく、自分にできることを考えて動くことの大切さを教えてくれます。
私が小学生の時に教科書に載っていた物語です。ニュースで穴に落ちた生き物の救出劇を聞く度に「ろくべえ」を思い出します。先日、久々に改めて「ろくべえ まってろよ」を読んだところ、何やら守ってあげたいような助けてあげたいような姿の「ろくべえ」を見て、私も5人の子どもたちの中の一人になった気分になりドキドキしました。長新太さんが描く絵の力も大きいですね。絵本を時々縦にしながら読み進めるようになっているのも楽しいです。

お話会にも良さそうです。
すべてひらがなとカタカナで書かれています。