2026/03/20

「The Kissing Hand キスのおまじない

お母さんのもとを離れ、
学校へ行くことになったアライグマのチェスター。
チェスターはお母さんと離れることへの不安でいっぱいです。
そこでお母さんは、
代々伝わる特別なおまじないをチェスターに授けました。
おまじないはチェスターを温かく包み、勇気付けます。

「The Kissing Hand キスのおまじない」
オードリー・ペン 文、
ルース・E・ハーパー 絵、ナンシー・M・リーク 絵
入澤依里 訳
アシェット婦人画報社
絶版になりました

お母さんからおまじないをしてもらったチェスターは、お母さんの愛にいつでも包まれていることを再確認して自信を持ちます。これまで時間をかけて育んだ愛情があるからこそ、おまじないは効くんでしょうね。そしてチェスターを見送るお母さんも、チェスターの愛に包まれ、子離れへの一歩を踏み出しているのです。 
集団生活で学んで成長していく速さには驚かされ、頼もしいものです。これから幼稚園や学校での生活が始まるお子さんへの読み聞かせにおすすめです。ただ、残念ながら日本語版は今は販売されていません。
原書はいかがでしょうか。アマゾンの Kindle で中身を少しご覧になれます。


The Kissing Hand
by Audrey Penn, Ruth Harper, Tanglewood, 1993.

2026/03/10

「ちいさいおうち」

田舎の静かなところに、
きれいで丈夫な小さいおうち家がありました。
建てた人はこの家を誰にも譲りたくないほど大切にし、
小さいおうちも自然に囲まれた場所を気に入っていました。
しかし、小さいおうちの建つ田舎は街へと変わっていきます。

「ちいさいおうち」
バージニア・リー・バートン 作、石井桃子 訳
岩波書店 1965
コルデコット賞受賞

田舎の丘の上に建つ「小さいおうち」は、豊かな季節の移り変わりを眺め、家族の暮らしを見守ります。やがてこの田舎は街へと変わり、都会の街に変化を遂げ、「小さいおうち」のある場所だけが取り残されてしまいます。もはや都会の風景の中の異物のような存在です。「小さいおうち」も、ここはもう自分にふさわしい居場所ではないと感じます。主が住まなくなり忘れ去られていく「小さいおうち」はどうなるのでしょう。
物言わぬ「小さいおうち」には心があり、周囲を見て感じています。ものにも愛情を持って大切に思う気持ちが引き出されます。季節や時代の変化を眺めるのも面白いです。優しくかわいらしい色彩の絵は、飾っておきたくなる美しさです。 

日、月、木などの簡単な漢字が用いられ、ふりがなが振ってあります。
小学生の低学年のお子さんの読書にもぴったりです。

「ちいさいおうち」は、表紙が布貼り風の絵本(↑)と、小さいサイズの岩波子どもの本(↓)の2種類があります。

「小さいおうち」岩波子どもの本
バージニア・リー・バートン 作、石井桃子 訳
岩波書店 1954

2026/03/08

「ふたりはともだち」

しっかりもののかえるくんと、のんびり気ままながまくん。
ふたりはお互いを優しく思いやる最高の友だちです。
ふたりの楽しく幸せなひと時、笑ってしまうお茶目な出来事。
互いを敬うふたりの暮らしは、大切な心を教えてくれます。

「ふたりはともだち」
アーノルド・ローベル 作、三木卓 訳
文化出版局 1972

かえるくんとがまくんのシリーズを読むと、温かくて優しい穏やかな気持ちになります。その上、所々笑ってしまうエピソードがあるのが楽しいです。文章も読みやすいです。
全部で次の5話が入っており、小学2年生の教科書に載っている「おてがみ」も含まれています。親世代にも懐かしい話ですね。今読むのにぴったりの「はるがきた」が第1話です。

「ふたりはともだち」に収録の5話: 

 「はるがきた」 
待ちに待った春が来たのに、がまくんはまだ起きません。かえるくんは、何とかしてがまくんを外へ連れ出したくて妙案を思い付きました。

 「おはなし」
夏のある日、病気のかえるくんのために、がまくんはお話をしてあげることになりました。しかし、うろうろしても逆立ちしても、何をしてもお話が思い付かないのです。

 「なくしたボタン」
ふたりが外出から戻ると、がまくんはボタンをなくしたことに気付きました。ふたりは来た道を戻ってボタンを探し、話を聞いた動物たちも協力してくれます。しかし見つかったボタンはどれもがまくんのものではありません。

 「すいえい」
 ふたりは川に泳ぎに行きました。がまくんだけが水着を着ますが、その水着姿は格好悪いので、水着姿で川から出たところを誰にも見られたくありません。そこに生きものたちが、がまくんの水着姿が見たくてやって来ます。

 「おてがみ」
がまくんは手紙をもらったことがないので、手紙を待つ時間は悲しい時間なのです。それを知ったかえるくんは早速がまくんへの手紙を書き、かたつむりくんに手紙を託します。 

2026/03/02

「すばらしい季節」 タシャ・テューダー 作

農場に住むサリーは、季節の移り変わりを全身の感覚を使って確かめます。 
春に咲く花の香り、緑に変わる木々、小鳥のさえずり。
夏には野いちごを味わい、秋にはすべすべのどんぐりを集め、
冬には薪の燃える匂いをかぎます。 

 「すばらしい季節」
タシャ・テューダー 作、末盛千枝子 訳
すえもりブックス

サリーを通して、自然の恵みが一つひとつ丁寧に語られます。季節が移ろうなかで変化する動植物の姿や、農場で営まれる人々の暮らしが、穏やかで喜びに満ちた絵とともに描かれています。日々の暮らしの中で「すばらしい季節」を感じる豊かな気持ち、ささやかなことにも愛おしさを覚える幸せ。これを私も味わい続けていきたいと思わせてくれる作品です。

さて、日本語訳の文章も美しく、小学1、2年生の音読学習にもおすすめです。ただ、漢字がたくさん使われています。使われている漢字は次の通りです。(間違いがあったら教えて下さい。) 

 小学1年生で習う漢字: 
日、目、耳、口、手、花、草、木、森、小、音、土、空、気。

 小学2年生で習う漢字:
 春、夏、秋、冬、場、野、原、鳥、池、黒、雪、牛、夜、星。

 農、葉は3年生。
 季、節は4年生。

また、農場、季節、池、雪、水仙、子猫、牧場、子犬、葉、渡り鳥、夜空、星にはふりがな付きですが、2度目以降にはふりがなのないものもあります。