人が恐れおののき逃げるほどの醜い主人公シュレック。
シュレックが自信満々で堂々と我が道を行き幸せを掴むかっこよさを痛快に描いています。
醜い主人公に心惹かれるたぐいまれな作品。
原書: Shrek! (ペーパーバック版)
by William Steig
日本語版:「みにくいシュレック」
ウィリアム・スタイグ 作、小川 悦子 訳
セーラー出版
銀の絵筆賞受賞
愉快なアニメ映画「シュレック」を生み出した原作絵本「みにくいシュレック」。映画では飛躍し、おとぎ話のキャラクターを総動員した世界の中でシュレックを活躍させています。絵本に登場するロバ、ドラゴンが待ち構える城、醜いお姫様を映画にも取り込み、シュレックは奇想天外な冒険をします。映画のシュレックは次第に人に慕われていき、愛する相手を見つけたシュレックは、ついに誰もが認める強くて優しいヒーローになります。壮大な映画の中で、醜いながらもかっこよく闊歩するシュレックは魅力的です。
一方、原作の絵本のシュレックはとにかく醜さ満載の見たことのない主人公でびっくりです。ところが最後は、読んでいるこちらが照れてしまうほどの愛情表現で締めくくられます。この愛に満ちているからこそ、堂々たる強く優しいシュレックが完成します。 ・・・誰にでも欠点があるけれども、それを上回る魅力を愛してくれる人がいる。・・・そんな月並みな言葉を、奇抜なアイデアで表現し伝えているのかもしれません。ウィリアム・スタイグの愛情に満ちた作品が、私は大好きです。