けれども大人たちはぼくのことを「うさちゃん」と呼ぶ。
そんなのは嫌なのに、わかってくれない。
だからぼくは、「うさちゃん」なんて呼ばれない方法を考えた。
「もう ぜったい うさちゃんって よばないで」
グレゴアール・ソロタレフ 作、末松 氷海子 訳
リブリオ出版 1989
絶版になりました
周囲の人たちは、身体が小さいジャンを「うさちゃん」と呼んでいます。そう呼ばれるのが嫌なのに理解されない寂しさから、ちゃんと名前で呼んでもらうためにジャンは独りで考え、ある行動に出ます。しかしそれは常軌を逸したものでした。
ジャンは刑務所に収監されます。そこで出会ったのが、自分よりも小柄なウサギのジム。猟師の命を奪って刑務所に入ったジムは、「そうしなけりゃ、こっちがやられちまったんだぞ」と語ります。ジャンとジムは親しくなり、ついには刑務所を脱走して森へ。ジャンの祖父に助けられ、今もふたりは誰にも見つからない場所で、身を潜めて暮らしています。
この絵本は、このような強烈な問題を提起している物語です。ジャンは、大人たちに一人前として認められないもどかしさに苦しみ、はめを外しすぎてしまいました。ジムの「そうしなけりゃ、こっちがやられてしまったんだぞ」という言葉は、ジャンの心境と重なります。
大人の何気ない態度が気付かぬうちに子どもを傷付け、壊してしまうことがあるのだという痛烈なメッセージが伝わってきます。こういった啓蒙により、自分を見つめなおしたり、反省したりするきっかけにもなると思いました。
大人向けの物語かも知れません。子どもにこの物語を読ませたいかどうかは判断に迷いますが、読むならば、ジャンに起こった出来事について考えることがたくさんあると思います。
すべてひらがなとカタカナで書かれています。

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