2025/09/26

「ももたろう」桃太郎絵本の傑作

「ももたろう」日本傑作絵本シリーズ
松居直 文、赤羽末吉 画
福音館書店 1965
全国学校図書館協議会選定「基本図書」
全国学校図書館協議会第14回推薦
厚生省中央児童福祉審議会特別推薦
第12回サンケイ児童出版文化賞受賞
日本図書館協会選定
大阪市立中央図書館選定

昔話の語り言葉の面白さ、リズムの良さが堪能できる、声に出して読み聞かせるのが楽しい昔話です。桃太郎誕生の背景や征伐への旅立ちがじっくりと描かれており、読みごたえがあります。おじいさんとおばあさんが大切に育てた桃太郎を鬼退治に送り出す姿と、無事に帰って来た桃太郎を喜んで迎える姿に、親としては気持ちが重なります。自信に満ちた桃太郎のたくましい姿は頼もしく、鬼が島へと向かう場面は高揚感と見ごたえがあります。 それから最後に、挿絵を描いた赤羽さんらしい仕込みがあります。

桃太郎伝説は何を例えているのか。簡単に言えば、桃太郎は大和朝廷を、鬼は製鉄技術を意味するとも言われています。世界は鉄を制したところから覇権を握ってきました。国を強く栄えさせる製鉄技術を確保するために、「桃太郎」こと大和朝廷は大義名分を打ち立てて「鬼退治」に行き、「鬼」すなわち製鉄技術を手中に収めたのです。鬼と言えば金棒を持っているイメージがありますが、金棒は彼らの製鉄技術の象徴なのです。この「ももたろう」の絵本にも金棒を持った鬼たちが登場します。そして面白いことに、鬼退治を終えて帰る舟には、桃太郎たちと一緒に赤鬼と青鬼も乗っているのです。これは何を意図しているのでしょうか? 製鉄技術者を連れて来たということでしょう。この仕込みがあるために、数ある桃太郎絵本の中でもこの作品が完璧だと思います。読み解き方はそれぞれですが、どう読み解くかの余韻が、かつて子どもだった読み手が大人になっても響く作品です。

数字は漢字で、他はすべてひらがなで書かれています。
小学1、2年生の音読学習にもぴったりです。

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