彼らはこの上なく美しい魔法の布を織ることができ、
その布で作った服は、役目にふさわしくない者や愚かな者には見えず、
賢くて役目にふさわしいものにだけ見えるのだという。
王様は、その魔法の布で服を作らせれば、誰が利口で誰が愚かなのかたちまちにわかると思い、さっそく仕事を命じました。
ハンス・クリスチャン・アンデルセン 作、バージニア・リー・バートン 絵
乾侑美子 訳
岩波書店
絶版になりました
「裸の王様」という言葉は比喩としても用いられるので、子ども時代に読み聞かせておくと良いと思います。「裸の王様」の意味は、広辞苑によると「高い地位にあって周囲の反対がなく自分の思いがすべてかなうため、自己を見失っている気の毒な人のこと」だそうです。
バージニア・リー・バートンの描く「はだかの王さま」は、始終和やかで楽しそうな雰囲気なのが特徴です。はたおりが抜かりなくだまし通す様子と、はたおりの仕事を見に来ては困惑する者たちの心情が滑稽に描かれ、楽しくわかりやすく読み進められます。気の毒な王様は最後の最後までチャーミングに思え、馬鹿にするすきも与えぬくらい、愛らしい物語になっています。「はだかの王さま」を読むならこれがおすすめです。
すべての漢字には振り仮名付き。
小学3年生くらいからの音読学習にも良いと思います。